- 窓のはなし -

 住宅を建てる際、当然のことながら「窓」というのは重要な要素となってきます。
 一昔前と違い近年の省エネへの意識の高まりから、現在窓はフレーム素材からガラス性能まで様々なものが用意されています。フレーム素材でいえば、断熱等の観点からフレーム等を樹脂とした今主流の樹脂サッシやアルミ樹脂複合サッシ等々、ガラスに関してもガラスが二重三重のペアガラス、トリプルガラスやそのガラス間にアルゴンガスを入れたもの、ガラス面に断熱遮熱のために金属膜(Low-E膜)をコーティングしたもの、防犯のためにフィルムを挟み込んだもの、また方位等によって使い分ける日射取得型ガラス、日射遮蔽型ガラス・・・非常に多岐にわたります。
 このように窓性能が高まっていくことにより、住宅建築の総工事費に対する窓の金額割合も以前より増加してきています。
 一方これだけ断熱性能を高めても、断熱材をしっかりと入れた壁や屋根と比べると窓は断熱面で大きな弱点箇所となってしまいます。
 住宅を設計する際、明るさを求めて「窓を大きくしたい」「窓をたくさん入れたい」といった要望をよく聞きます。ただ上記のようなことから、快適さを求めてコストを掛けて入れた窓がかえって快適ではない住環境を生んでしまう可能性があります。
 大事なことは適材適所、必要な箇所に必要な大きさの窓を入れることではないでしょうか。1つ1つの窓に対して、何のための窓なのかを考えることが大切です。「直接太陽光を採り入れるため」「安定した光を入れるため」「風を流すため」「景色を眺めるため」「気配を感じるため、感じさせるため」「空間を広く感じさせるため」・・・しっかりとした目的をもって配置することが、よりよい住宅創りの一因となることは間違いありません。

「リビング奥まで光を入れるための吹抜部の窓」
「部屋から木を眺めるための窓」
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