提携建築士/長谷川えいこさん 武山肇さん

今回は、吹抜とロフトを一体で考えることで、より「おいしい空間」になる事例をお伝えしたいと思います。
ロフトは建築基準法上、天井高さが1.4m以下と定められているので、小さい子どもの居場所としては最適です。
紹介するのは、一世帯住宅を二世帯住宅に改修した事例です。もともとフラットだった既存住宅の二階の天井を取り外し、梁を表にして開放感のある子世帯のリビング・ダイニング・キッチンを計画しました。キッチン部分の上に床を作り、リビング・ダイニングと空間的なつながりのあるロフトを設けました。小さなお子さんが、ロフトで遊んでいても、一体の空間なので、気配はリビング・ダイニング・キッチンに伝わります。
また我々は、1層半の高さの吹抜空間とロフトを組み合わせる設計もよく行います。図1は、南側に隣家が迫っていて太陽光が入りにくい立地でも、南側のリビング・ダイニングを1層半にすることによって高窓からの光で明るくなり、子どもや家族のサブの場所となるロフトとつなげることで、楽しい空間もつくれるからです。さらに図2は、1層半の吹抜とロフトを組み合わせて3層にした事例ですが、建築基準法上は2階建てになります。3階建てにすると防火制限などでコストアップが生じますが、それが抑えられるメリットがあります。また都心では法的制限で高さが抑えられる地域も多いですが、建物高さを抑えつつ床面積を増やし、かつ吹抜も確保した欲張った空間がつくれます。
吹抜とロフトが組み合わさることで、このようによりおいしい空間が生まれるように思います。