提携工務店 尾身嘉信さん
皆様のお住まいでは、廊下やリビング、押し入れなどに物があふれていませんか?
タイトルから想像すると、収納や間取りについての話のようですが、今回は少し違います。誰も住まなくなったご実家の改修などをご依頼いただく際、家そのものとは別に、もう一つ大きな問題になることがあります。それが、遺品整理です。
■実家に残された家財や生活用品
家自体も古くなっていることが多いのですが、それ以上に大変なのが、そこに残されたたくさんの家財や生活用品の整理です。もともとそこで生活されていたのですから、物が残っているのは当然のことです。ただ、特に年配の方のお住まいでは、古いものでも「いつか使うかもしれない」「大切なものだから」と、押し入れや倉庫などに長年保管されているケースが少なくありません。使わなくなった衣類が何本ものタンスに残っていることもあります。
また、少し特殊な例では、物置代わりにワンルームを借り、本や新聞、雑誌などをかなり以前からため込み、部屋が埋もれてしまっているケースもあります。通販などで届いた段ボールが、部屋の中に積み重なっていることも、最近ではそれほど珍しくなくなりました。
■思い出の品と「不用品」
暮らし方は人それぞれです。すべてはご本人の判断ですから、たとえ家族であっても、なかなか口を出しにくいこともあるでしょう。ただ、それもご本人がご存命であればの話です。実際に家を引き継ぐことになったご家族にとっては、思い出の品もある一方で、その大半が「不用品」となってしまうこともあります。
中には、開封されていない贈答品やブランドの衣類、バッグなどがあり、「もしかしたら価値があるのでは」と期待されることもあります。しかし、長年しまい込まれていたものの多くは、虫に食われていたり、黄ばんでいたりして、残念ながらそのまま使える状態ではないことも少なくありません。
■高くなる廃棄物の処分費用
最近は、廃棄物の処分費用も高くなっています。家を引き継ぐ方にとっては、それらを処分するためにまとまった費用を負担しなければならず、「家を引き継いだ」というよりも、まるで余計な費用まで背負うことになったように感じる方もいらっしゃいます。
■定期的な整理が将来の負担を減らす
暮らしには、それぞれの思いがあります。時間の経過とともに、少しずつ物が増えていくのは自然なことなのかもしれません。だからこそ、使わなくなったものや不要になったものは、できるだけ定期的に整理・処分し、家の中に必要以上に物を増やさないことも、落ち着いた暮らしを続けるためには大切なのではないでしょうか。自治体のルールに沿って処分できるものであれば、専門業者に一度に依頼するよりも、費用を抑えられる場合もあります。
建築費用も年々上がっている中で、せっかく家を改修するのに、たくさんの物やごみの処分に予算を取られてしまうのは、とても残念なことです。今すぐに何か困ることがないご家庭でも、一度、押し入れや倉庫に何年もしまったままになっているもの、部屋や廊下にあふれているものを見渡してみてはいかがでしょうか。「これは本当に必要なものなのか?」そう考えながら、少しずつ整理していく。それだけでも、将来の負担を減らすことにつながるかもしれません。
■物の多さは、家にも影響します
物が多すぎることは、家そのものにとっても良いことばかりではありません。物に埋もれて窓が開けられなかったり、物で通路がふさがれて行き来しにくくなったりすると、家の中の風通しも悪くなります。できるだけ物を整理して、風を通し、時には窓から陽の光を入れる。人にとって暮らしやすいだけでなく、家を長持ちさせるためにも、家の中に風と光を取り入れることは大切です。
■「物を減らす」ということ
「物を減らす」ということは、単に部屋をきれいにするだけではありません。今の暮らしを快適にすること、そして将来、家を引き継ぐ人の負担を減らすことにもつながります。
皆様も、まずは身近な押し入れや物置から、少しずつ見直してみてはいかがでしょうか。

