住まいの温故知新

提携建築士 酒井 哲さん

 去年より、住まいづくり講座で「江戸東京たてもの園で住宅の歴史や魅力を学ぶ」という野外講座を担当しています。今年も5月に実施し、5人の組合員に参加いただきました。江戸東京たてもの園は、かつて東京に建っていた古き良き建物(歴史的建造物)を移築保存し、展示する目的で設置された野外博物館で、ここを訪れることで近世から近代の建物を一同に観ることができます。
 なぜ住まいづくり講座で江戸東京たてもの園を訪れるのかというと、私たちの生活に過去との断絶が起こっていて、住宅ではその状況が顕著だからです。特に東京では日常生活の中で、日本的な風景や建物にふれる機会が年々少なくなっています。たてもの園の復元建物から住まいのルーツをたどり、かつて地域で連綿と続いてきた建築の在り方を学ぶことは、持続可能な住まいづくりの大きなヒントになります。
 江戸東京たてもの園には30棟もの歴史的建造物が復元されていて、園内はセンターゾーン、東ゾーン、西ゾーンの3つのエリアに別れています。全ての復元建物を一日で見学するのは難しく、初めて訪れる場合はパンフレットに記載されているゾーンごとに、建物番号順に見学することが多いのではないでしょうか。ところが、復元された建物は時系列や用途がバラバラなため、個々の建物の特徴を知ることができても、住まいの「変遷」を捉えようとすると工夫が必要です。
 講座では住居の歴史を学ぶのに適した建物を厳選し、ゾーンや建物番号をまたいで建物を見ることで、近世から近代、そして昭和と変遷する住まいを実感できるようにしました。講座で見学した建物は「W8綱島家」→「W5八王子千人同心組頭の家」→「W4吉野家」→ 「C4西川家」→「W9小出邸」→「W6前川邸」のようになります。「W8綱島家」からスタートするのがポイントです。
 午前の講座を終えた後は、参加者と一緒に「W10デ・ラランデ邸」に向かいました。ちょうど食堂の大テーブルが空いていたので、デ・ラランデ邸の最も格式の高いダイニングルームで食事をいただくことができました。洋風建築の内装を堪能しながら、建築談義に花が咲きました。食後も参加者の皆さんは意気投合し、さらなる歴史的建造物探訪へと出かけたようです。
 歴史的建造物には気候風土に適した住まいづくりヒントが沢山詰まっています。来年も講座で「江戸東京たてもの園」を訪れる予定なので、どうぞご期待ください。

江戸東京たもての園 W8綱島家
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